相続
誰でも人には必ず死が訪れます。人が亡くなると必ず相続が起こります。
亡くなられた方の財産をどう引き継ぐのかというのが相続の問題です。こう言うと、財産をたくさん持っている人だけの話だと思われるかも知れませんが、そうではありません。例えば、亡くなられた方が多額の借金を抱えていた場合、借金を引き継がなければならないのでしょうか。
また、統計的にも、法的手続は、相続税が課税される方々よりも、課税されない方々の方が件数が多いようです。
相続の問題は誰にでも関係します。
当事務所では、相続を契機に起こってくる種々の問題(遺産分割、遺言無効、遺留分侵害額請求(遺留分減殺請求)、使途不明金、相続放棄、遺言書の作成など)を幅広く取り扱っております。
1 遺産分割
他の相続人によって行われた遺産分割について、「何かおかしい」と疑問や不満を感じながら、そのまま遺産分割に応じるといったこともあるでしょう。そういった方が、いつまでも心にしこりとなって残っていて、中にはそれこそ何十年も前の話を相談される方もおられます。
当事務所では、数多くの相続のご相談をお聞きしてきましたが、次のようなものが典型的です(これらの相談例はいずれも実際にあった事件を元にしています。分かりやすく、全て兄と相談者という関係にしています)。
- 亡くなった親と同居していた兄が、どんな遺産があるのか教えてくれない。財産を独り占めしようとしているのではないか?
- あの不動産は、兄の名義になっているが、買った際にお金を出したのは亡くなった親だから遺産なのではないか。
- 亡くなった親の名義の不動産がいつの間にか兄に贈与されていて、兄から「これは遺産でないから、これ以外の財産だけを分ける。」と言われた。
- 認知症が進んでいた親が、いつの間にか「遺産をすべて兄に相続させる。」という遺言をしていた。
- 亡くなった親と同居していた兄が、親の生前、親の預金口座から多額の現金を引き出していた。
- 亡くなった親の介護を献身的にしてきたのに、介護の手伝いを何もしなかった兄から、相続分は平等だと言われた。
上記のような疑問や不満はいずれももっともなものです。誰しも共感することでしょう。
しかし、他の人が「もっともだ」と思うだけでは、声の大きな者にごまかされたり、言いくるめられたりして、問題に蓋をされてしまいかねません。そうなると元に戻すことはできなくなります。
弁護士に依頼する意味は、こういった疑問や不満に法的根拠を与えて、自分の言い分に自信を持てたり、弁護士に委任すれば代弁してもらえて「あの時言っていれば良かった」という後悔を免れたり、実際に権利を実現したりできるというところにあります。
また、相続は、親族同士での問題であり、親族同士であるという甘えや積年の思いといったものが入り交じり、感情のもつれから泥沼化してしまいがちです。
そうなると、当事者だけでは解決できないこともしばしばです。
法律という客観的な基準を持った弁護士が関与することにより、早期解決を図ることが可能となります。
では、上記のような相談に対して、弁護士ならどのような対処が可能か、一例としてご説明します。
弁護士は、各種照会をすることにより、遺産の調査をすることが可能です。預金の取引明細を取り寄せた結果、相続開始前に預金口座から多額の現金の引き出しが判明することもあります。
その場合、場合によっては、引き出した者に対して引き出した金の返還を求める裁判を起こすことも考えられます。
兄名義になっているが、実は父がお金を出して購入したという不動産については、当該不動産が父の所有であることを前提とした交渉を行います。
交渉が決裂すれば、不動産は遺産であることの確認を求める訴訟を起こすか、父から兄への不動産ないし購入代金の生前贈与があったとして、遺産分割手続の中で特別受益の主張をすることになります。
認知症の進んだ親の遺言については、病院からカルテを取り寄せるなどして、親に遺言能力があったかを調査します。
調査の結果、遺言能力に疑問があった場合には、遺言無効確認の裁判を起こすことになります。遺言能力に疑いがない場合には、遺留分侵害額請求をすることになります。
亡くなった親の介護を献身的にしてきたという点は、遺産分割手続において、寄与分の主張をしていくことになります。
相続問題と言っても、事情はそれぞれに異なっており、1つとして同じ事件はありません。当事務所では、そうしたそれぞれの事情に深く耳を傾け、最善の解決策をご提案します。
当事務所には、相続問題に経験豊富な弁護士が多数在籍しております。ぜひご相談いただければと思います。