まずはご相談ください。問題解決の糸口が見つかるはずです。

所長ご挨拶

竹下所長 写真

 つくし法律事務所は、10名の弁護士とそれを支える事務局によって、企業や市民の期待に応えるために全力を尽くすことを旨として事務所を運営しております。
 「つくし」は土手や野原に自生している素朴で力強い植物です。私たちはつくしの花言葉を事務所の座右の銘と考えています。みなさんはつくしの花言葉をご存知でしょうか。「向上心」「努力」がつくしの花言葉です。私たちは、依頼者と弁護士が、さらには事務局も一体となって向上心を忘れず、努力を続けることが経営においても、人生においても大事だと考えています。
 それぞれの弁護士が責任感を持ち、それぞれの個性を発揮し、笑顔で依頼者の期待に応えることのできる事務所がつくし法律事務所です。しかも、10人が依頼者の方々の利益を守り、権利を実現するために一丸となって行動する事務所です。
 みなさんの来所を心からお待ちしております。

つくし法律事務所 所長 竹下 義樹


2016年3月18日弁護士 大胡田 誠

改正障害者雇用促進法施行に思う ~障害者雇用こそ日本経済復活の鍵!~

1 はじめに

 このほど、厚労省から、本年6月1日時点での民間企業および国などの公的機関における障害者の雇用状況が発表された。

 これによると、障害者雇用義務を負担する民間企業(常時雇用する社員が50人以上の規模の企業)で働く障害者は、45万3133.5人、国などの公的機関で働く障害者は、6万5317人とのことである。これら両者を合計すると51万8506.5人ということになる。

 厚労省は、雇用障害者数、実雇用率共に過去最高であり、障害者雇用は着実に進展していると胸を張る。しかし、ちょっと待ってほしい。日本には、障害者は、身体障害、知的障害、精神障害併せて合計約787.9万人いるといわれている。すると、障害者の中で、企業などに雇用されて働くことができているのは、障害者のうちの約6%にすぎないということになる。これは子供や高齢者も含む障害者全体に対する比率だが、あまりにも少ない数だといわざるを得ないのではないだろうか。

 しかし、ここで、あまり企業の義務を強調しすぎたり、企業を批難するだけでは、障害者雇用を拡大することには繋がらないだろう。営利を追求するのが企業の中心的な目的である以上、私たちは企業に対し、障害者雇用のメリットをわかりやすく示す必要がある。そこで、今回のエッセイでは、企業が思わず障害者を雇いたくなるようなメリットを私なりに考えてみたい。
 

2 企業を発展させるために必要な3つの「T」

 米国の社会学者リチャード・フロリダは、創造的な活動が行われるために必要な環境の条件は、次の3つの「T」だと説く。それは、テクノロジー(技術)、タレント(人材)、トレランス(多様性に対する寛容さ)だというのである。

 彼の研究は、都市環境を念頭に置いた者だが、この基本的な考え方は、おそらく1つの企業の内部組織にも当てはまるものだ。

 日本はもともと国民全体の教育水準が高く、日本の多くの企業には、すでに才能ある人材がいて(タレント)、高い技術力もある(テクノロジー)。なのに、日本企業は、バブル崩壊後の長い閉塞感から未だ脱することができない。企業が、創造性を発揮して新たな商品やサービスを生み出し、もう一歩発展するために必要なのは、あとは「多様性に対する寛容さ」(トレランス)なのではないだろうか。

 そして、日本企業の中に、この、多様性に対する寛容さの種をまく最も有効な方法の1つが障害者雇用だと私は考えている。
 

3 企業にとっての障害者雇用の本当の意義

  障害者雇用は、よく企業イメージの向上やCSR(企業の社会的責任)の文脈で語られることが多い。まだ、多くの企業は、障害者雇用がもたらす、多様性に対する寛容さの醸成というメリットが十分にわかっていないように思われる。

 これまで、日本の企業では、割り振られた仕事をきちんとこなし、求められる成果を機械のように上げる社員がよい社員だった。そして、個性的な社員、周囲の手を煩わせる社員には不寛容なところがあった。職場がぎすぎすし、メンタルに不調を感じる社員が後を絶たないのもこの不寛容によるところが大きい。

 でも、そのような職場環境では、障害者雇用はうまく行かない。障害者は、多かれ少なかれ、個々の障害の特性のため、他社からのサポートを必要とする。視覚障害がある社員を雇えば、他の社員による書類の読み上げや移動の介助が必要となる場合がある。精神障害のある社員を雇えば、彼らの精神状態を理解するために一定の努力が必要となるし、こまめな休憩時間の設定も必要だ。

 障害者を雇い、一緒に仕事をしていくためには、社内の風土をがらっと変える必要がある。職場全体に、社員同士がお互いを認めあう風土、時にはお互いに迷惑を掛けあいながらも支え、支えられることができる風土、失敗も成功も社員が共に分かち合う風土を醸成する必要がある。障害者と共に働くことは必然的に一定の非効率やある種の摩擦を内包する。しかし、それをも認めることで、企業は、結果的に、多様性に対して寛容な組織になることができる。
 

4 日本経済復活の鍵としての障害者雇用

 ところで、本年4月から、障害者雇用促進法が改正され、障害のある社員の雇用主は、その社員の障害に応じた合理的配慮を提供する義務を負うことになる。これも、日本の会社組織のあり方を変革するいいきっかけになるはずだ。企業の中で、雇用主による何らかの配慮を必要としている社員は、障害者のみではない。企業の中には、障害の有無のみならず、性別や国籍、体力や精神の強弱など、多様な特徴を持った社員がいる。そして、それぞれの社員には、画一的でない様々なニーズがある。企業が、合理的配慮について考えることは、実は、企業が、どんな立場の社員にとっても働きやすい組織に脱皮するチャンスとなる可能性を秘めている。障害のある社員が働きやすい企業は、障害のない社員にとっても働きやすい企業なのだ。

 改正障害者雇用促進法の理念が社会に広く浸透することによって、企業などで雇用され働く障害者が増え、加えて、日本企業の中に、多様性に対する寛容さが広がっていくこと、そして、日本の企業がより創造性に満ちた活力ある組織になっていくことを期待したい。障害者雇用を真剣に考えることこそ、日本経済復活の鍵なのである!